12
16

最初はただの火遊びだった。
年上のライターの火村とはマッチングアプリで知り合った。体を許し、お金を受け取るだけの関係。
変化が生じたのは、私が炎上したときだ。
互いに干渉しない約束だけど、その日の私は余りに落ち込んでいたらしい。
「どうした?風前の灯火みたいな顔して」
『実はネットで炎上してさ』
「ネットなんて少しの火種があれば、すぐに薪を焚べにくる奴ばかりさ。近づきすぎると火傷じゃすまない。距離をとればあったかいのにな」
『さすがライター』
それにチャッカマンだ。普段、無口な彼の言葉は、私の心に火をつけた。
それから、ホテルの後には焼鳥や焼餃子を食べにいくようになり、少しずつお互いのことを知っていった。

「お金はもう払えない。俺と付き合ってくれないか?」
ある夜、ベッドの上で彼に告げられた。
私の心は今、完全に焼き尽くされた。
『灰』
一瞬、真っ白になった私は抱きしめられてまた燃えた。
恋愛
公開:20/07/02 17:55

そるとばたあ( 神奈川 )


☆そるとばたあの400字SSは、『ミュージシャンが曲を作るように物語を描く』をコンセプトとしております。
ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語に挑戦中です!


☆拙作のプレイリストを選んでいただきました!
気になられた方は、↓の過去作品も一緒に楽しんでいただければと思います!




【This is そるとばたあ selected by むう】

・wwwww
・海相撲夏場所
・七バッター
・インストゥルメンタル
・君はカレンダー
・ナイトプランナー
・ブレックファストラン
・湯舟にのって
・ニューライフセーバー
・猫背な男
・止谷アドベンチャー
・焼ソバ戦線
・親父ロック
・鮭取物語
・メトロナポリタン
・サヤ遠藤
・甘乞い

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容