鍵
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外は雨降り。お気に入りの傘をさして歩いていると、ボトリと鈍い音がして傘の上で何か跳ねた。コンクリートの地面にカランカランと勢いよく転がる。何だ?と、追いかけてしゃがんで見てみると、アンティークの鍵だった。どこか見覚えのあるそれは触ると何故か肌なじみが良くて、質感、重さ、大きさも自分好みというかそそられるというか、持った瞬間手放さずにはいられなくなり、持ち帰ることにした。
なんの鍵かはわからなかったが、その美しさに惚れ惚れと見入ってしまい、食事するのも忘れるほどであった。それから肌身離さず持ち歩くようになり、眠る時も手に握りしめなければ落ち着かなくなった。
そうすると、身体に異変が起きた。私の胸に青いあざのようなものができてふやけ始める。痛みを我慢していると、とうとう小さな穴が空いた。それは鍵穴だった。自然とあの鍵を鍵穴に突き刺す。胸が開き、中が顕になった。
私の心臓を新たな命が抱いていた。
なんの鍵かはわからなかったが、その美しさに惚れ惚れと見入ってしまい、食事するのも忘れるほどであった。それから肌身離さず持ち歩くようになり、眠る時も手に握りしめなければ落ち着かなくなった。
そうすると、身体に異変が起きた。私の胸に青いあざのようなものができてふやけ始める。痛みを我慢していると、とうとう小さな穴が空いた。それは鍵穴だった。自然とあの鍵を鍵穴に突き刺す。胸が開き、中が顕になった。
私の心臓を新たな命が抱いていた。
その他
公開:20/07/02 16:09
夜野 るこ と申します。
(よるの)
皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。
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