月を吸う(創作ドリル01続き)

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「ふうううっ、ふうううっ、ふうううーっ」
と音をたてながら、少年はいっぱいに頬をふくらませて、月に向かってストローで息を吹きこんでいた。何度も何度も。顔を真っ赤にして、まるで、硝子職人が熱く柔らかいガラスを丸く膨らますような勢いだ。今度は何が起こるんだろう。

「これくらいでいいな」

さっきまで泡がはじけた跡みたいだった月の表面が、ぴかぴかでつるつるになってた。息を吹き込んだので表面が膨らんだのだ。鏡みたいにまわりの星々を映しているし、夜空の色も映すので月がぱっと消えたようになってしまった。
「びっくりした?ちょっとしたいたずらだよ。月の温度が上がるとすぐに元通りになるからね」

月を吸ったり吹いたりできるストローって何でできてるんだろう。
ファンタジー
公開:20/07/02 17:00
創作ドリル ストーリー01月を吸う

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