私のダリアちゃん

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物心ついた頃からダリアちゃんはいた。
白い肌、長い赤毛、にこりと笑う口元。
どこに行くにも私たちは一緒だった。
「ねえ、ダリアちゃん。今度はどこに行く?」
毎日そんな風に話しかけていた。

でもパパがいなくなってからお出かけはしなくなった。ママもあまり家に帰らなかった。
ダリアちゃんの白かった肌は黒ずみ、髪の毛もボサボサになった。お腹がすく日が多くなっていったけど、それでも私にはダリアちゃんがいてくれれば大丈夫だった。

ある日、ママが怒りながら私からダリアちゃんを奪って床に叩きつけた。
「いつもヘラヘラしやがって!」
ママがダリアちゃんの口元にカッターを押し当て、私は怖くてぎっゅと目をつむり耳をふさいだ。

しばらくして目を開くとママはいなかった。床に落ちたダリアちゃんを拾う。口元が赤く汚れていたが切れてはいなかった。
「よかったね。ダリアちゃん」
ダリアちゃんはにこりと微笑んでいた。
ホラー
公開:20/07/02 10:43
更新:20/07/04 14:55

森川 雨

ショートショートには不向きな書き方かもしれませんが、こちらで修行させていただきたくお邪魔しました。

よろしくお願いします。

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