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おそうしきの後、僕は真っ直ぐ帰りたかった。
遠くからいらして下さって、ってハル君の家に引き留められたけど、早く帰ってあの庭を探したかった。
「アキト君、とつぜんでごめんなさい。びっくりしたわね」
答えないで横向いてたら、お母さんに耳を引っぱられた。
「これ、アキト!」
「……いいんです。うちのハルと仲良くしてくれて、本当にありがとう」
あいさつしてる場合じゃない。だってこんなのウソだから。
ハル君はここにいないし死んでもない。早く庭を探さなきゃ。それでハル君を元に戻すんだ。ハル君は秘密のチョウドウを通って猫チョウになった。僕が帰れたんだから、まだ間に合う。絶対間に合うはずなんだ。
「にゃう~ぅ」
猫チョウの声。すぐ近く。
「ハル君!?」
ごろごろのどが鳴る。ハル君のお母さんの持った写真が鳴いてる。
「入院前に撮った、最後の写真よ」
いつもの笑顔の、少しやせたハル君は、黒猫を一匹抱えてた。
遠くからいらして下さって、ってハル君の家に引き留められたけど、早く帰ってあの庭を探したかった。
「アキト君、とつぜんでごめんなさい。びっくりしたわね」
答えないで横向いてたら、お母さんに耳を引っぱられた。
「これ、アキト!」
「……いいんです。うちのハルと仲良くしてくれて、本当にありがとう」
あいさつしてる場合じゃない。だってこんなのウソだから。
ハル君はここにいないし死んでもない。早く庭を探さなきゃ。それでハル君を元に戻すんだ。ハル君は秘密のチョウドウを通って猫チョウになった。僕が帰れたんだから、まだ間に合う。絶対間に合うはずなんだ。
「にゃう~ぅ」
猫チョウの声。すぐ近く。
「ハル君!?」
ごろごろのどが鳴る。ハル君のお母さんの持った写真が鳴いてる。
「入院前に撮った、最後の写真よ」
いつもの笑顔の、少しやせたハル君は、黒猫を一匹抱えてた。
ファンタジー
公開:20/07/02 00:08
更新:20/07/02 12:12
更新:20/07/02 12:12
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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