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白い花畑に、黒いチョウが飛んでるみたいだった。
おじぎして、手を合わせて入れ替わってく黒い服。もうじき僕も行かなきゃならない。
隣に座ったスカートが動いて、一緒に席を立った。ひらひら、ひらひら。チョウの羽そっくりだ。一番前まで来て、黒いチョウは二匹になった。僕のお母さんと、ハル君のお母さん。おじぎして手を合わせて、頭を上げる。
花畑でハル君が笑ってる。黒いふちの写真は猫チョウの羽に似てた。
でも違うんだ。席に戻るまで思ってた。ハル君はチョウになって飛んでった。こんなところにいるわけない。
「チョウの羽は宝の地図なんだ」
だって、いつも笑ってた。
ずっと病気だったって、入院してたなんてウソだ。
引っ越し先は教えてくれなかったけど、声もLINEも届いた。だから昨日の電話もウソ。――ねぇハル君、死んじゃったなんて、絶対ウソだよね?
写真のハル君は笑ったままで、やっぱり答えは教えてくれなかった。
おじぎして、手を合わせて入れ替わってく黒い服。もうじき僕も行かなきゃならない。
隣に座ったスカートが動いて、一緒に席を立った。ひらひら、ひらひら。チョウの羽そっくりだ。一番前まで来て、黒いチョウは二匹になった。僕のお母さんと、ハル君のお母さん。おじぎして手を合わせて、頭を上げる。
花畑でハル君が笑ってる。黒いふちの写真は猫チョウの羽に似てた。
でも違うんだ。席に戻るまで思ってた。ハル君はチョウになって飛んでった。こんなところにいるわけない。
「チョウの羽は宝の地図なんだ」
だって、いつも笑ってた。
ずっと病気だったって、入院してたなんてウソだ。
引っ越し先は教えてくれなかったけど、声もLINEも届いた。だから昨日の電話もウソ。――ねぇハル君、死んじゃったなんて、絶対ウソだよね?
写真のハル君は笑ったままで、やっぱり答えは教えてくれなかった。
ファンタジー
公開:20/07/02 00:05
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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