白地図の猫-6

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白い花畑に、黒いチョウが飛んでるみたいだった。
おじぎして、手を合わせて入れ替わってく黒い服。もうじき僕も行かなきゃならない。
隣に座ったスカートが動いて、一緒に席を立った。ひらひら、ひらひら。チョウの羽そっくりだ。一番前まで来て、黒いチョウは二匹になった。僕のお母さんと、ハル君のお母さん。おじぎして手を合わせて、頭を上げる。
花畑でハル君が笑ってる。黒いふちの写真は猫チョウの羽に似てた。
でも違うんだ。席に戻るまで思ってた。ハル君はチョウになって飛んでった。こんなところにいるわけない。

「チョウの羽は宝の地図なんだ」
だって、いつも笑ってた。
ずっと病気だったって、入院してたなんてウソだ。
引っ越し先は教えてくれなかったけど、声もLINEも届いた。だから昨日の電話もウソ。――ねぇハル君、死んじゃったなんて、絶対ウソだよね?
写真のハル君は笑ったままで、やっぱり答えは教えてくれなかった。
ファンタジー
公開:20/07/02 00:05

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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