幻想妖魔伝【マンティコア】

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 マンティコアは人間を捕食する魔獣だ。獅子の体に蝙蝠の羽根を持っていた。
 陰陽師、安倍晴明の末裔、安倍京明は魔獣退治を依頼され、インドに来ていた。
 夜。京明が宿屋の庭に出ると、背後で声がした。
「日本人か」呪文でおびき寄せたマンティコアである。
「そうじゃ。よう来た、近うよれ」
「わしを誰か知っておるのか」
「野良猫じゃな」
「その言葉、後悔するぞ」
 マンティコアは牙を剥いて飛び上がり、京明に襲いかかった。だが、着地した刹那、肉球に何かが刺さった。
「痛い!」
「撒菱(マキビシ)じゃ」
 撒菱は画鋲に似て足に刺さる。京明が呪文を唱えると、肉球から魔力を吸い取り、忽ち蝙蝠の羽根が消えて飛べなくなった。やがて小さくなり、猫に化けた。しかし、吸い込んだ魔力が大きすぎた。無数の撒菱は巨大化して、庭を埋め尽くしたのだ。
「しかたあるまい。わしが撒いた種じゃ」
 京明が笑うと、猫がナーと鳴いた。
ファンタジー
公開:20/06/30 19:51
更新:20/06/30 20:06
スクー 飛べない肉球 マンティコア(インドの魔獣) 陰陽師

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
最近はスクーのお題からの作品を楽しく書かせていただいてます。お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。

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