白地図の猫-3

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知らない道を、チョウを尾行して歩く。金魚じゃなくてチョウのフンだ。
「バタフライの『バタ』って、フンらしいよ」
これもハル君が言ってた。バターに似たフンをする、飛ぶ生き物だからバタフライ。あの時もチョウが飛んでて、ついよけたら笑われたっけ。
へいの上をひらひら渡る猫チョウが、時々僕を振り返る。案内するみたいに。猫にも猫道ってあるよねと思った。いつも途中で逃げられるのも一緒。

「俺、来月引っ越すんだ」
笑った顔のまま言った。
いつも本を読んでたハル君。色んな話を教えてくれたけど、引っ越し先は教えてくれなかった。

「にゃ~う」
声がひざの横を抜けて、へいに吸い込まれた。
「……うそ」
あわてて駆け寄る。足元に抜け穴とか――ない。
胸の辺りがぎゅぅっとなった。秘密のチョウドウの宝物、もうちょっとだったのに。こつんとへいを蹴ったら、
「にゃ~うぅ」
すねの辺りに声。
ぐん!と体が引っ張られた。
ファンタジー
公開:20/07/01 10:50
バタフライの語源については 諸説ございます。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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