006.雨乞

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 水は命の一番そばにいる。
 と、おじいちゃんは言った。

 わたしが、
「どうして、わたしたちは生きているの?」
 と、聞いた時のことだ。
 おじいちゃんは、
「水に聞いてみなさい。水は命の一番そばにいる」
 とだけ教えてくれた。
 それから、水を飲む時、手を洗う時、お風呂に入る時、それ全部が答えを聞くための時間になった。
 雨の日は、傘を持ってお散歩に出た。空から来た水なら、何か教えてくれると思ったからだ。
 家族旅行は、たくさんの水がある海か、水がまったくない砂漠に行きたいとお願いした。
 海や水族館にはたくさん行けたけど、結局砂漠には一度も連れていってもらえなかったな。
 答えを待ってるだけじゃダメかもと思って、水を勉強するようになった。

 それから十数年後、わたしは海洋学者になっていた。
 答えはまだ聞けていない。
 だから今も、雨の日はお散歩の日なのだ。
青春
公開:20/06/30 21:04

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【001~】 単品ショート
 

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