ロボット教師

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試験的にロボットに授業をやらせる事になった。
よりにもよって俺の国語。機械に言葉が教えられるワケないのに⋯⋯。

「皆サン、コレヲ読ンデクダサイ」
配られたのは星深一の『やさぐれロボット』。
全員が読み終わるとプリントを回収し、やつは妙な事を言い出した。
「デハ今読ンダ小説ヲ、思イ出シ再現シテクダサイ」
教室中がざわめいた。
「せ、先生、感想文じゃないんですか?」
「ハイ⋯⋯」
そして書きあがった小説を生徒たちに朗読させた。が、やはり記憶だけで書いたものなので、それぞれかなりの違いがあった。原作よりロボットが乱暴だったり、エム氏のぐうたらぶりが強調されたり、中にはオチまで変わってるのもあった。
フフフ、その点、俺が書いたものは細部まで忠実に再現できたぞ。

「皆、個性ガアッテトテモ良イデス。タダシ、コノ回答ダケハ0点デスガネ!」
と言うと、ロボットは俺の回答用紙をびりびりと引き裂いた──。
SF
公開:20/06/30 01:06
更新:20/07/01 12:03
ショートショートカレンダー 10月5日教師の日用

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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