未来人、ポテチに敗れる
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かつて世界で最もよく売れていたと言われている食べ物。博士は膨大な資料を元に復元機を作り上げ、ついに再現することができた。
「なんでしょうか、これは?」
助手の問いに博士は答えた。
「芋を薄切りにして油で揚げ、調味料をまぶしたもののようだ」
「これが……食べ物。にわかに信じがたいですが、私が味見してみましょう」
助手は博士の静止を振り切り、食物を口元までもっていった。しかし、大きすぎて口に入らない。
「舐めて食べるのかな?……不味い! 塩と油の味しかしませんよ、これ!」
「過去人はきっと塩分の濃い食事が好きだったのだろう。生活習慣病も今よりずっと多かったそうだからな」
そう言う博士の顎は極端に細く、口も相応の大きさだった。科学の発達により、流動食以外を口にする必要がなくなり退化したためだ。
咀嚼という言葉すら知らない彼らに、ポテトチップスの真の美味しさがわかるはずもなかった。
「なんでしょうか、これは?」
助手の問いに博士は答えた。
「芋を薄切りにして油で揚げ、調味料をまぶしたもののようだ」
「これが……食べ物。にわかに信じがたいですが、私が味見してみましょう」
助手は博士の静止を振り切り、食物を口元までもっていった。しかし、大きすぎて口に入らない。
「舐めて食べるのかな?……不味い! 塩と油の味しかしませんよ、これ!」
「過去人はきっと塩分の濃い食事が好きだったのだろう。生活習慣病も今よりずっと多かったそうだからな」
そう言う博士の顎は極端に細く、口も相応の大きさだった。科学の発達により、流動食以外を口にする必要がなくなり退化したためだ。
咀嚼という言葉すら知らない彼らに、ポテトチップスの真の美味しさがわかるはずもなかった。
SF
公開:20/06/29 21:53
お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!
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