煌めくイヤリング★

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 アクセサリーは、指輪、ネックレスにブレスレット、色々あるけれど、イヤリングが一番好き。気付かないうちに片方を落としてしまう危うさも含めて。好きな曲を聴くと、聴いていた頃に戻れるというけれど、私にとってそれはイヤリング。
 ガラスケースから取り出した真珠のイヤリングを耳に付ける。渚で遊んだ彼の白いTシャツと真珠のような歯が零れそうな笑顔が蘇る。
 貝殻とヒトデが海の水に浮かんでいるようなイヤリングは最後の夏。恋のはじまりと楽しさを留めておきたくて、波の音も太陽の煌めきも閉じ込められているよう。
 一番仲の良かった私の友達に彼が心変わりしたのはあの夏の終わり。
あの笑顔も優しさも、あの砂浜の砂のように、私の手からこぼれ落ちていくように私のものではなくなった。
 思い出にはならない、夏がくるとあのイヤリングをつけ、あの時の私に戻る。波の音は遠くて、太陽の煌めきももう、手のひらの上で輝かない。
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公開:20/06/27 15:03
更新:20/06/27 15:29

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