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最近、近所に「音屋」という店ができた。
最初こそ人は少なかったが、今では入り口に長蛇の列ができている。
俺は好奇心から、その店を覗いてみることにした。
相変わらずの長い列の最後尾に加わり、入り口の方を見てみると、入り口に並ぶ人は皆悶々とした顔つきで下を向いているのに対し、出口から出てくる人は、皆とても晴れやかな表情で、その中にはスキップを踏んでいる人もいた。
一体何があるんだろう。俺はますます胸が高鳴るのを感じながら、遂に列の先頭までたどり着いた。
中へ入ってみると、とてもお洒落なバーみたいな雰囲気だ。大理石の丸い柱に、シックな木目調の壁。
「ではお客様、こちらでございます。」
俺はわくわくしながら店員についていった。
「こちらの扉をお開け下さい。」
ドキドキしながら扉を開けると、そこにあったのは、──便器?
その瞬間、俺は気付いた。この店は音の店じゃなく、「音入れ」の店なんだと。
その他
公開:20/06/27 12:54

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