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海外に住む友人の家を訪ねると真冬だと言うのに部屋の中を蚊が飛んでいた。
耳元でプ~ンと音を立てる蚊を叩くべく、眼を鋭くしていると友人がシュッとスプレーを一吹きした。
さっきまで元気よく飛んでいた蚊が地面へと落ちて行く。
それはいいんだけど…そのスプレー、ちょっとニンニク臭くない?
「これ、吸血鬼専用スプレーなんだ」
友人の言葉に首を傾げる。
「さっき落ちたもの、よく見て」
そう言われ、それに近寄る。
そこにいたのは蚊ではなかった。蚊と間違える程に小さなオッサンだった。
「それ、今この国で大量発生している吸血鬼なんだ」
こんなものがこの国で大量発生しているの?
「噛まれても血を吸われるだけで吸血鬼になったりしないから安心して」
確かにホッとした。こんなのに血を吸われたくはない。
という事はやはり先程の音は空耳ではなかったのか…
吸血鬼は私の耳元でヒュ~とナンパの如く口笛を鳴らしていたようだ。
ファンタジー
公開:20/06/28 18:59

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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