永眠不足

現在、天界で問題になっていることは人間の永眠不足だ。

永眠とは肉体がその役目を終え、魂が天界へと戻ることだが、魂にとっては長い休憩みたいなものだ。

天界へと戻った魂は下界での汚れを浄化するために長い眠りにつく。その間に下界での記憶をほとんど忘れるのだ。

浄化を終えた魂は再び新しい肉体に宿り、新たな人生を送り始める。

ところがここ数百年に人口が大幅に増え、魂が宿る間隔が短くなってきているのだ。

すると忘れるはずの記憶が僅かに残った状態となり、各地で様々な問題が起き始めているのだ。

「ぼくをだれだとおもっているの？てんかのいえやすだぞ」

「スマホが普及したのは、私が電話を発明したからだ」

「だから言ったでしょう？にんげんだもの、って」


天界では新たに魂を増産するか人間を減らすか、意見が割れている。