286. 彫刻のエステティシャン(続き)

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そんなある日、日本での『美の女神展』の開催が決定した。美の象徴と言われているミロのヴィーナスをはじめ、各国の美しい彫刻が一堂に会するのだ。私は高揚する気持ちを抑えられず、自身も美しくあろうとパックやヘアケアなどに勤しんだ。そして遂にヴィーナス像と対面することとなった。
「こ、こんにちは、はじめまして…。心を込めて施術させていただきます」
緊張で震えながらもそう伝え、彼女にカラークロスを被せ、いざ顔に触ろうとした瞬間のことだった。
『あなたのそのメイク素敵ね!私もたまにはメイクをしたいわ』
一瞬耳を疑ったが、ヴィーナスは明確にそう言った。
「メイクをしてみたいのですか?」
『ええそうよ♡』
私は戸惑ったが、彼女の期待に応えたいと思い、パックやマッサージを終えた後丁寧にメイクを施した。
その様子を見ていた他の彫刻たちが、私も私もと言い出したので、私はメイク道具一式を急いで調達することとなった。
ファンタジー
公開:20/06/28 15:12
更新:20/06/28 15:13
創作ドリル ストーリー08 彫刻のエステティシャン

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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