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今この陰毛を亡き者にしなければ、今夜寝首を掻かれるのは僕だ。
もう手段は択ばない。
僕は力に任せて湯船の栓を引っこ抜いた。

後は浴槽の湯が完全に抜け、彼が排水溝に吸い込まれるのを待つだけだ。
再度湯を沸かす手間はかかるが、この際仕方あるまい。

勝利を祝うワインを一杯飲み、風呂を確認しに行く。
そろそろ湯が抜けたころだろうか。
チリチリという陰毛の断末魔が聞こえるようだ。

手ごわい陰毛だが相手が悪かった、歴戦の陰毛ハンターである僕に挑んだ事を後悔しながら最期を迎えているはずだ。

風呂の戸を開け、浴槽を確認する。
陰毛の気配も呼吸も感じない。勝利の瞬間である。

カブトムシを捕まえた夏休みの少年のように気分が高揚した。
再度浴槽に湯を入れ、服を脱ぎ捨てる。

ふと、手に違和感を感じた。
「やあ、元気?湯を抜くのはさすがに反則だろ」
手に張り付いた陰毛が愚痴をこぼした。
その他
公開:20/06/28 14:20
更新:20/06/28 14:21

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