6
6
―大仏の螺髪の中には無数の蜘蛛が巣食っている。
中学生の修学旅行の時、奈良の旅館に宿泊した夜のことです。僕が一人で部屋の真ん中に寝ていると、蛍光灯の紐の先に小さな男がしがみついているのです。私は「蜘蛛の糸」を思い出しましたが、男の名前が思い出せません。すると、ブッダが「カンダタの上にお前の糸を垂らしてごらん」とおっしゃいます。
私は緊張しました。ネバネバの糸を出さないようにしないといけないが、しおり糸では弱すぎます。すると私は、一体、自分のお尻のどこをどうすれば、ちゃんと糸が出せるのかわかりません。ブッダが待っています。
焦ってお腹に力を入れた結果、私はお腹の蜘蛛の子を撒き散らしてしまったのです。
―ああ。かわいいわが子をみな地獄へ落としてしまった。
するとブッダが螺髪を解き、子供達をみんな救ってくださったのですが、そのまま螺髪にお巻き込みになってしまわれました。
―だから、
中学生の修学旅行の時、奈良の旅館に宿泊した夜のことです。僕が一人で部屋の真ん中に寝ていると、蛍光灯の紐の先に小さな男がしがみついているのです。私は「蜘蛛の糸」を思い出しましたが、男の名前が思い出せません。すると、ブッダが「カンダタの上にお前の糸を垂らしてごらん」とおっしゃいます。
私は緊張しました。ネバネバの糸を出さないようにしないといけないが、しおり糸では弱すぎます。すると私は、一体、自分のお尻のどこをどうすれば、ちゃんと糸が出せるのかわかりません。ブッダが待っています。
焦ってお腹に力を入れた結果、私はお腹の蜘蛛の子を撒き散らしてしまったのです。
―ああ。かわいいわが子をみな地獄へ落としてしまった。
するとブッダが螺髪を解き、子供達をみんな救ってくださったのですが、そのまま螺髪にお巻き込みになってしまわれました。
―だから、
その他
公開:20/06/28 13:50
更新:20/06/28 15:38
更新:20/06/28 15:38
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
ログインするとコメントを投稿できます