紅葉

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走る。駆けおりる。

このたびは

山を走る。木々をよけつつ、土だらけになりながら。

ぬさもとりあへずたむけやま

目の前がひらける。ぽつんとした広場。古びたベンチに、背を向けて座る同い年の少年。
名前は知らない。でもこの町へ引っ越してきてから、ここへ来るといつも彼はいた。日が暮れるまで一緒に遊んだ。

駆けおりた勢いのまま彼のもとへたどり着き、両手いっぱいの赤い落ち葉を。

もみぢのにしきかみのまにまに
ファンタジー
公開:20/06/28 12:16
更新:20/06/28 12:51
紅葉 百人一首

字数を削るから、あえて残した情報から豊かに広がる世界がある気がします。
小さな話を読んでいると、日常に埋もれている何かを、ひとつ取り上げて見てる気分になります。

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