負け知らず

今日は家族と遊園地に行く。
久しぶりに出かけるので、子どもたちも大喜びしている。
さっそく、一番人気の観覧車に乗り込む。
ここの観覧車はちょっと変わっていて、ゴンドラが手のひらの形をしているのだ。
乗車客はこの手の指が動かせるようになっていて、ジャンケンができるようになっている。
一周回って降りる時、係員とジャンケンをして勝てばもう一周乗れる。
一発勝負は得意とするところ。
ほら！勝ったぞ！！
どうだい、他の乗客は負けて降ろされる中、俺達ファミリーはまた一周できる。
子どもたちも妻も、俺にキラキラした眼差しをむけている。
ふっふっふ、父親として夫としての株が急上昇だ。

「パパ〜、もう違う乗り物乗りたい〜」
「おなかへった〜」
ジャンケンに勝ち続け、何周回ったかもう覚えていない。
ああ、また勝ってしまった、降りられない、、、。
俺はまた登っていくゴンドラから、沈みゆく夕日を哀しげに眺めた。