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酒は百薬の長という諺はその昔、人と鬼が共存していた時代に生まれた言葉である。
一鬼で人間千人分の強さに匹敵する鬼は最初、恐れの対象ではなかった。
それどころか無類の酒好きで、ふらりと人里にやって来ては共に酒を酌み交わす。
それを邪魔するものは何であっても自慢の力でねじ伏せる。
良い酒を用意すると鬼は厄災から守ってくれる。人は百歳まで生きる事が出来る。そこから酒は百薬の長という諺が生まれた。
それが覆されたのは鬼を恐れた帝が酒に毒を混ぜ、殺し始めたからだ。
殺された鬼は人間に憑りつく。そして内側から囁く。「周りの人間はいずれお前を裏切るぞ」と。
疑心暗鬼。それは本来、空耳として聞き流すべき妄言である。
だが中には鬼の言葉を鵜呑みにし、殺人鬼と化してしまう者もいる。
己の中に棲まう鬼を鎮める方法は簡単だ。酒を飲めばいい。
ただし、薬も過ぎれば毒となる。程々にしないと鬼と共に身を滅ぼす事になる。
ファンタジー
公開:20/06/26 18:59
一騎当千の語源は一鬼当千である 嘘である

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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