進化の途中

20
14

私、ミジンコ。
知ってるでしょ?理科の授業でお馴染みだから。
でもね、私たちが変身できるっていうことは、あんまり知られてないの。ふふ、知らなかったでしょ?
あのね、私たち、実はツノが生やせるの。頭の後ろにつくつくって。
あら失礼ね、嘘じゃないわよ。普段はないけど、敵が近づいてくると防御のために生えるの。天敵はボウフラ。でもツノが生えると頭が少し大きくなるから、敵の口に入らなくなるの。すごいでしょ?

噂をすればボウフラだわ!よし!
えいっ!やあっ!
あっ!
あああああーっ…!

「へっ、ちょろいもんだぜ。こいつら、ツノ生やすのに丸一日かかるもんな。はい、ご馳走さん」
あっさりミジンコをひとのみにして、再び水の間を漂い始めたボウフラの腹の中で、ミジンコは小さく呟いた。

『いいの、いつか必ず私たちはツノを獲得する。何百年、何万年かかるか判らないけど、いつかきっと。だってまだ進化の途中だもの』
その他
公開:20/06/26 20:39
ネットで見つけた ミジンコのツノの記事が面白くて ちょっと書いてみました ツノ生やすのに丸一日かかるので 実際には殆ど役に立たないらしい ちょっと気の毒

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容