285. 部首体験キット(続き)

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さて今度はどの部首で遊ぼうかと箱に手を入れた。たまたま取れたのはくにがまえ【口】だった。
ぼくはそれをゴムみたいにビヨーンと伸ばすとなんとなく箱の外側にぐいっと嵌めてみた。すると箱は途端にぐるぐると"回"りはじめた。
(うわぁ、どうしよう…)
ぼくと父さんは懸命に箱を押さえつける。しかし二人してうっかりとその箱の中へと入ってしまい、"囚"われの身となった。
ぼくは突然のことに驚くあまり木の棒みたいに突っ立って"困"るしかなかった。
父さんは脱出する方法を見つけるべく大の字となって寝そべり原"因"と解決法を思案した。
だがそうこうしているうちに、異常を知らせる警告音が辺りに響き渡った。
これで誰かが発見し助けてくれるだろうと二人して安堵していたが、駆けつけて来たのは警察官だった。
「やっと窃盗犯を捕まえた。このキットがいい"囮"になってくれたな」
そう言うとぼくたちを箱ごと警察車両に乗せた。
SF
公開:20/06/25 01:26
更新:20/06/25 02:18
創作ドリル ストーリー07 部首体験キット

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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