一人暮らしのささやかな安らぎ

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「今日も疲れたなぁ。」
仕事終わりにコンビニで弁当を買い、家に帰る。
「ウチの店、賄い食えるようにならないかなぁ。」
いつものグチを、誰にともなく呟く。
「また言ってるんですね。」
そうやって苦笑いするのは、いつもの店員さんだった。
「うわ、ごめんなさい…また、漏れてました?」
「はい、それはもう、バッチリ。」
独り言が多いらしい俺は、何度も同じ店員さんにぼやきを聞かれている。
気を付けようとは思ってるんだが…
「お仕事大変そうですね。」
他に客がいない時は、こうやって少し雑談をする。家に帰っても一人だし。
「まあ、飲食店が忙しいのはいいことですよ。」
と強がってはみる。これもいつものことだけれど。
「無理はしないでくださいね。」
自分に向けられた優しい言葉と柔らかな笑顔に癒されつつ、明日への活力をもらい家に帰って、味気ない晩ご飯を食べて寝る。そんな日常に、わずかばかりの安心感を覚えつつ。
その他
公開:20/06/24 23:46

ハル・レグローブ( 福岡市 )

趣味で昔から物書きをのんびりやってます。
過去に書いたもの、新しく紡ぐ言葉、沢山の言の葉を残していければと思います。
音泉で配信されているインターネットラジオ「月の音色 」の大ファンです。

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