感情の名前
1
2
「ねえねえお母さん、嬉し涙って何ー?」
「んー?嬉しすぎて、感動して泣いちゃうことじゃないかな?」
「悲しくないのに泣いちゃうのー?変なのー」
「ねー、人間って不思議だね」
「じゃあさー、嬉し涙があるなら悲し笑いとかあるのかな?」
「んー?悲し笑いとは言わないねえ」
「そうなのー?なんで名前ついてないんだろーね?」
「難しいなあ、悲しくて笑うことはよくあるから、わざわざ名前つけなかったんじゃない?」
その日は父の一周忌だった。少し笑いながら、母とそんな話しをしたことを思い出す。僕がおやすみと言った後、穏やかだった母が咽び泣いていた。僕を起こさないように、とても静かに。
その日、僕は名前がつけられない感情があると知った。そして普段笑っているあの人も、ほんとは悲しんでいるかもしれないと思うと、自然と頬に涙が伝った。
「んー?嬉しすぎて、感動して泣いちゃうことじゃないかな?」
「悲しくないのに泣いちゃうのー?変なのー」
「ねー、人間って不思議だね」
「じゃあさー、嬉し涙があるなら悲し笑いとかあるのかな?」
「んー?悲し笑いとは言わないねえ」
「そうなのー?なんで名前ついてないんだろーね?」
「難しいなあ、悲しくて笑うことはよくあるから、わざわざ名前つけなかったんじゃない?」
その日は父の一周忌だった。少し笑いながら、母とそんな話しをしたことを思い出す。僕がおやすみと言った後、穏やかだった母が咽び泣いていた。僕を起こさないように、とても静かに。
その日、僕は名前がつけられない感情があると知った。そして普段笑っているあの人も、ほんとは悲しんでいるかもしれないと思うと、自然と頬に涙が伝った。
その他
公開:20/06/24 22:39
更新:20/06/25 13:11
更新:20/06/25 13:11
コメントお待ちしております。
ログインするとコメントを投稿できます