立呑余話

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たまたま隣同士になった男と意気投合した。
まさに立呑屋の醍醐味でもある。

年代こそ違え、好みや趣味嗜好が同じでおまけ程度に血液型まで同じだ。
流石に星座まで同じなら少し気味悪いがそこは違っていた。

もしかしたら生き別れた兄弟か。ハハハと同じタイミングで二人ビールのお代わりを頼んだ。
話を聞くとある時を境に味の好みは変わったそうだ。
いつだいと聞くと、思い出したく無いから言わないと。深く追求しないのも立ちの作法。

酔い任せで何故か10年以上、献血は欠かさず行っている事を明かした。
献血は3ヶ月3ヶ月半年の間隔で行けるから年3回行けるんだぜと。つまらん話題だ。

背筋が伸び男は目を丸くした。

「実は6年前事故にあって輸血を受けたんだ。もしかしたらお前さんのを頂いたかもしれんな。」
こちらが目を丸くした。

「味の好みが変わったのはその時からだ。」
ハハハと再び乾杯をした。
その他
公開:20/06/24 22:14
更新:20/07/07 00:04

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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