うどん屋見習いのトーマス
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閉店後、喜一郎は木の板にうどんの生地をどんと置いた。
「トーマス!」
「ハイ!」
「やってみな」
巨大な体躯をしたトーマスの目に静謐な輝きが宿った。
「ヨろしくおねがしマす」
麺棒を持つと、彼は生地をのばしはじめた。喜一郎は厳しい目つきでその動きを見る。
生地をのばし終えたトーマスは喜一郎の顔色を窺った。
「もういい」
喜一郎はアゴをしゃくって背を向けた。
「エ…」
「ネギを切っとけってんだ。わかんねぇのか!」
まな板に青ネギがあった。
トーマスの顔は青ざめて、包丁を持とうとする手が震えた。
「お前さん、ここに来る前どこで働いてた?」
「…アフガン、三年いた。…ナイフ持てナい」
喜一郎は沈黙した。
「私、クビですか」
「うどん職人はよ、一人前になるのに十年かかんだ」
喜一郎は、トーマスの肩にぽんと手を置いた。
「あせんじゃねえ」
トーマスの目にじんわりと涙が滲んだ。
「アりがとうゴざます」
「トーマス!」
「ハイ!」
「やってみな」
巨大な体躯をしたトーマスの目に静謐な輝きが宿った。
「ヨろしくおねがしマす」
麺棒を持つと、彼は生地をのばしはじめた。喜一郎は厳しい目つきでその動きを見る。
生地をのばし終えたトーマスは喜一郎の顔色を窺った。
「もういい」
喜一郎はアゴをしゃくって背を向けた。
「エ…」
「ネギを切っとけってんだ。わかんねぇのか!」
まな板に青ネギがあった。
トーマスの顔は青ざめて、包丁を持とうとする手が震えた。
「お前さん、ここに来る前どこで働いてた?」
「…アフガン、三年いた。…ナイフ持てナい」
喜一郎は沈黙した。
「私、クビですか」
「うどん職人はよ、一人前になるのに十年かかんだ」
喜一郎は、トーマスの肩にぽんと手を置いた。
「あせんじゃねえ」
トーマスの目にじんわりと涙が滲んだ。
「アりがとうゴざます」
その他
公開:20/06/25 22:51
人物描写
の練習で書きました
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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