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「ようやく気がつきましたか」

俺の目の前には昔話の絵本に出てくるような格好の女がいる。ここはどこなのかわからないが、何か異常なことがあったようだ。

「再び残念ながらあなたは熱病で死にました」

再び? 二回目ってことか……俺は突然思い出した。前世の記憶というやつかもしれない。俺は名もない漁師で、海辺で悪ガキどもにイジメられているウミガメを助けようとしたことがあった。しかし、多勢に無勢。ガキどもにボコボコにされた俺はそこで死んでしまったのだった。それが一回目か。

その時は気がついたら山の中で赤ん坊に生まれ変わっていた。シングルマザーの元で。元気なガキに育った俺は熊と相撲をとったりしてすくすくと成長し、ある武将の家来となって鬼退治なんかもした。ところが九州に征伐に出かける途中で病気になったのだ。

「では、あなたはこの度は老夫婦の子供として転生してください」

こうして俺は桃に入った。
ファンタジー
公開:20/06/25 20:26
357 成立順だとこうなる 浦島伝説は古代神話 金太郎は十世紀 桃太郎は十六世紀 オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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