熱狂メガネ

あそこの電柱の横にいる男を見てごらん。
中腰でフラフラしてなんか変だろ？
あの男は熱狂メガネをかけているんだ。つい先日、私が発明したんだ。長年の研究の末ついに完成した。
あのメガネをかけると熱中したいものしか見えなくなる。それ以外は何も見えない。それしか追いかけられなくなる。
いや、追いかけずにはいられなくなるんだ。
当然周りからは冷たい目で見られるだろうし、心無い言葉も飛ぶだろう。
だがね、本人は周りの反応なんて見えていないし外野からの声なんて聞こえていない。
当然、私がこんな快適な喫茶店で彼のことを観察しているなんて気づいてもいない。

彼は今、熱狂のど真ん中にいるんだ。

どれ、実際に彼の熱狂の声を聞いてみようか。




「おっぱいだ！おっぱいしか見えない！最高だ！！」




熱狂とはこういうことだ。