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僕の住む町には忘却屋という店がある。その店は嫌な記憶・トラウマを忘れさせてくれる。
店の利用者の多くは喧嘩の原因を消して貰っていた。
店を出る時は皆が一様に言う。「今日は何の記憶消して貰ったんだろう?」って。
忘れているのならそれでいい。思い出さない方が良い事だってある。

そんな忘却屋がある日、大問題を起こしていた。
消してはいけない記憶をいくつか誤って消していたようだ。
僕の彼女もその被害者の一人だ。
「私達、どうして付き合う事になったんだっけ?君からなんて告白されたんだっけ?大切な言葉だったはずなのに…思い出せない…」
消してしまった記憶は元に戻せない。だから僕はもう一度、あの時の言葉で彼女に告白した。
彼女は「凄く普通だね」とあの時と同じように笑った。
彼女は消された僕の告白を『大切な言葉』と言ってくれた。凄く幸せだった。

そんな淡い僕の思い出を忘却屋は証拠隠滅の為に消し去った。
青春
公開:20/06/23 19:38

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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