男のショートショート【飼育】

　おれは、この星で飼育されている。宇宙人に連れ去られ、動物園の檻の中だ。爬虫類のような宇宙人が客だ。
　飼育員が様子を見に来た。
「気分はどうだ」
「悪いに決まってるだろ」
「地球に帰りたいか」
「当たり前だ」
　ある日、飼育員はとんでもないものを連れてきた。
「このエサはどうかな」
「うーん。悪くないな」
　とんでもない美女だった。　
　あくる日、飼育員が来た。
「気分はどうだ」
「いいに決まってるだろ」
「地球に帰りたいか」
「一生ここにいてやる」
「ほかに欲しいエサは？」
「これと同じものを」

　動物園が騒がしい。
　美女たちが武装して反乱を起こしたらしい。やがて飼育員もろとも宇宙人は絶滅させられた。
　美女の集団が銃を持ち、おれの檻を囲んだ。
「殺すのか？」
「この惑星には男がいないの」
「だから」
「私たちの子孫を残す手伝いをしてもらうわ」
　おれは種馬と書いた檻に入れられた。