昔の下宿探し

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1960年代の学生時代、下宿先探しで大学の学生課にある下宿物件掲示板を見に行った。色々と比較しながら、最寄駅・間取・家賃等の条件で気に入ったものが有れば、紹介状をもらい直ちに現地を訪ねてみる。
おォーこれは良い!「3畳間で家賃1500円の権敷無し」だ、掘り出し物を見つけたと大喜び行ってみた。
かなり年代物の木造で、案内してくれた鷲鼻のお婆さんと、歳はどっこいどっこいであった。急な階段を上り3階に連れていかれたが、実際は2階の上の屋根裏部屋だった。確かに畳は3つ在ったが天井は傾斜があり、低い所はまともに立っては歩けない。
窓代わりの空気孔らしき小窓があるが鉄格子付きだ。頭をぶつけてしまいそうだなと独り言を言ってると、お婆さんは「あんたが小さくなれば、大丈夫だ」と言いながら両手を広げ呪文らしき言葉を発した。すると私の体が縮みかけたのでびっくりし慌てて階段を滑り落ちながら這々の体で逃げ出した。
青春
公開:20/06/24 13:23
更新:20/07/11 19:54

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