「まよなか」

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真夜中、食べたいモノがあった僕は彼女を連れてコンビニへ行った。
「あったあった」
僕はお目当ての品を手に取った。彼女が僕の手元を覗き込む。
「食べたいモノって、それ? よなか?」
「和菓子の最中(もなか)の発音で【よなか】だよ。まぁ、最中みたいなものさ」
「へー。あ、こっちは【まよなか】だって。私これにするー」
「それは……」やめておいた方が、と言う間もなく彼女はレジへ向かってしまった。

真夜中に食べるスイーツというのは、背徳感めいたものが美味さを倍増させる。【よなか】には、そんな夜が皮に包まれている。
「はい」
僕は半分に割った【よなか】を彼女に差し出す。
「あン、美味しい!」
一口食べるやいなや彼女が喘ぎにも似た声を出した。お気に召したようだ。
「次はこっち」
彼女が半分に割った【まよなか】を僕に差し出す。正直、いらない。なぜなら……。
彼女が小さく呻いた。
「マ、マヨネーズぅ……」
その他
公開:20/06/22 22:55
更新:20/06/22 23:26
真夜中のコンビニ 月の音色 月の文学館

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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