3.ガソリンスタンドバイミー

12
14

あれは十二歳の夏。
長い線路を僕は歩いていた。
この先に【したい】があると親が教えてくれた。したいことのない僕はその通りに歩いた。
時にヘビーに睨まれ、時に危機感車に急かされ、ガス欠寸前の僕の前に君が現れた。
君は僕の涙を拭き、心の吸殻を掃除し、元気を給油してくれた。
『沼を軽油しない?』
道なき道を示す君。
『イレギュラーも悪くないさ』
怖かったけど、僕のエンジンは唸った。
翌朝、僕は森の中を君と一緒に進んだ。
沼でヒルに噛まれると君が体を洗車してくれた。
『オーライ!』
いつも君が励ましてくれて心強かった。

遂に【したい】を見つけた。
線路をずっと歩いてきた末に押し潰された誰かの死体だった。
これが僕のしたいこと?
『君のしたいこと、本当はわかっているはずだ』
あっ……自分で蓋をした給油口を僕は思い出した。君はそこに勇気を満タンに給油してくれた。
ガソリンスタンドはもう動かなかった。
ミステリー・推理
公開:20/06/22 22:08

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
https://amzn.asia/d/8qmIuR7

・カプセルストーリー(特殊外来種ハンター、カンガルー・ノート、露の楽譜ほか) 
https://amzn.asia/d/iW14MdM

ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容