糖化(閲覧注意)

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隣の佐藤は筋金入りの甘党だ。
仕事中も菓子を摘まみ、机は常に甘い匂いがする。
「節制しろ。体が糖化して老けるぞ」
「若いから平気」
説教は右から左。喋る息はココア。ひらひら払う指からシナモン。砂糖に改名したらどうだ?皮肉りたい程、本人も甘い匂いがする。

残業終わりの深夜、例によって隣から匂い。
「……俺にもくれ」
チョコの包み紙を咥えたまま、佐藤が袋を寄越した。

相当疲れていたんだと思う。
袋を掴んだ腕をもぐ。――ぽきんと手応え。チョコが床にばらけた。
指から齧る。爪はべっ甲飴の味。ぱりんと割れて舌で溶けた。クッキーの肉とベリーソースの血。
「お前、食い過ぎ」
片腕のない佐藤が笑う。
やっぱり砂糖人間だ、咀嚼しながら納得する。綿菓子の髪、マシュマロの内臓、キャラメルの背骨にナッツヌガーの骨髄。
「そんなに美味い?」
「甘い」
脳味噌はシュークリーム。
期待しなかったがペアシューだった。
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公開:20/06/22 11:55

創樹( 富山 )

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