ミステリーツアー

「当社のミステリーツアーへようこそ！」
中型バスに乗り込むと、バスは国道を海のほうへ走り、そのまま海へ入ってしまった。
「このバスは水陸両用車なのです」
客の一人が、このツアーの目的地を聞いたら、ガイドは答えた。
「私もわかりません。このバスがどこに流されるか次第です。食糧は十分ありますので、安心して下さい」
翌日、大食いの客のせいで、食糧がなくなった。
「魚釣りしましょう」
獲れた魚だけでは、お腹を満たせず、飢えてきた。少しすると、無人島に着いた。
大雨が降ってきて、屋根のある洞穴は取り合いになった。
棒で殴り、石を投げ、怪我人も出た。極限状態だ。
ちょうど四日経った頃、ヘリコプターがやってきた。
「当社の三泊四日のミステリーツアー、如何だったでしょうか？　現代では、なかなか経験できない、無人島、飢えの世界、極限状態への旅。またのお越しをお待ちしております」