西玉夫

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目覚まし時計が鳴る前に目が覚めちゃう。
隣で寝てる夫のイビキが大きいからである。
「デブ。おい、デブ。うるさいぞ」
でも、
「寝顔かわいい」
しばらくその顔を眺めていた。
「ブスかわいいー。・・・ん?夫って・・・あれに似てる」
頭に浮かんだのは、2002年8月、多摩川に現れたアゴヒゲアザラシのタマちゃん。
2004年4月、荒川で見たのを最後に消息は不明らしい。
2004年7月には海に還ったとの報道もあったらしいが、私と夫が出会ったのは2004年7月。
「ひょっとして夫って・・・」
あの頃は日本中を癒していたけど、今は私のもの。
当時アザラシだった(!?)夫は、生後3~4ヵ月と推定された。
今は19歳くらいか。人間に換算すると40歳程度か。
「ほら、年も同じくらい」
じーっと夫の顔を眺めるなんて、あるようでないな。
「私からはいなくならないでね」
私は夫にキスをして、朝食の支度をはじめた。
その他
公開:20/06/20 23:23

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