レジ袋家族

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〔望月透〕と名前が書いてあるコンビニのレジ袋を拾う。
辺りを見渡すと一軒の家に〔望月〕の表札があった。
その家の門扉にレジ袋を引っ掛ける。

「よく私の家のモノだとわかったな!」
玄関から爺さんが現れた。
「あっ、望月って書いてあったから…」
俺はすぐに答えた。
「透はそこのコンビニで出会い、私の家族になった」
爺さん呆けてるのかな?レジ袋に名前つけちゃって。
「お兄ちゃん、中を覗けばわかるよ」
俺は爺さんを刺激しちゃいけないと思い、レジ袋の中を覗く。
そこには、TVのある畳の部屋があった。
「何だ?VRか?」
この不思議な空間をよく見ようとレジ袋に頭を突っ込んだ途端、身体が飲み込まれ、俺は畳で寝転びながらTVを観る。
腹が減った。
「母さん!ご飯まだぁ?」
「透!ご飯早く食べたいなら手伝いなさい!」


カサカサと動くレジ袋の上部をキュッと結び、爺さんは微笑んだ。

優しい孫が出来たと。
ホラー
公開:20/05/05 02:56
家族

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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