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「今、帰ったぞぉ」
おれは大工道具を上がり框に置き、靴を脱いだ。
「父ちゃんおかえり!」
小さな息子たちがよたよたと出迎える。
腹を空かせた二人のために台所へ向かいながら、背中のジッパーを下ろして夫の着ぐるみを脱ぐ。そしてあたしは息子たちのために重い鉄鍋を振るい、出来立ての料理を食卓に運んだ。
「おいしそう!」
「父さんが来るまで待ちなさいね」
さあ、ここからが大変。
割烹着を脱ぎ、またしても夫の着ぐるみを被る。
「ほら、ちゃんと椅子に座らんか!」
「はーい!」
息子たちと学校の話をしながら食事を済ませ、再び夫の着ぐるみを脱いで洗濯や洗い物を済ませた。
ああ、さすがに疲れたわ⋯⋯。
居間でぐったりと横になっていると、よたよたとした足取りで夫の着ぐるみが歩いてきた。
「大丈夫かい、母さん?」
と、あの懐かしい声で話しかけてきた。
あたしはにっこりと微笑み、夫の手を握って眠りについた──。
おれは大工道具を上がり框に置き、靴を脱いだ。
「父ちゃんおかえり!」
小さな息子たちがよたよたと出迎える。
腹を空かせた二人のために台所へ向かいながら、背中のジッパーを下ろして夫の着ぐるみを脱ぐ。そしてあたしは息子たちのために重い鉄鍋を振るい、出来立ての料理を食卓に運んだ。
「おいしそう!」
「父さんが来るまで待ちなさいね」
さあ、ここからが大変。
割烹着を脱ぎ、またしても夫の着ぐるみを被る。
「ほら、ちゃんと椅子に座らんか!」
「はーい!」
息子たちと学校の話をしながら食事を済ませ、再び夫の着ぐるみを脱いで洗濯や洗い物を済ませた。
ああ、さすがに疲れたわ⋯⋯。
居間でぐったりと横になっていると、よたよたとした足取りで夫の着ぐるみが歩いてきた。
「大丈夫かい、母さん?」
と、あの懐かしい声で話しかけてきた。
あたしはにっこりと微笑み、夫の手を握って眠りについた──。
ファンタジー
公開:20/05/05 09:49
更新:20/07/01 12:50
更新:20/07/01 12:50
5月9日「母の日」
ショートショートカレンダー
(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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