着ぐるみ家族

16
24

「今、帰ったぞぉ」
おれは大工道具を上がり框に置き、靴を脱いだ。

「父ちゃんおかえり!」
小さな息子たちがよたよたと出迎える。
腹を空かせた二人のために台所へ向かいながら、背中のジッパーを下ろして夫の着ぐるみを脱ぐ。そしてあたしは息子たちのために重い鉄鍋を振るい、出来立ての料理を食卓に運んだ。
「おいしそう!」
「父さんが来るまで待ちなさいね」
さあ、ここからが大変。
割烹着を脱ぎ、またしても夫の着ぐるみを被る。
「ほら、ちゃんと椅子に座らんか!」
「はーい!」
息子たちと学校の話をしながら食事を済ませ、再び夫の着ぐるみを脱いで洗濯や洗い物を済ませた。

ああ、さすがに疲れたわ⋯⋯。
居間でぐったりと横になっていると、よたよたとした足取りで夫の着ぐるみが歩いてきた。
「大丈夫かい、母さん?」
と、あの懐かしい声で話しかけてきた。
あたしはにっこりと微笑み、夫の手を握って眠りについた──。
ファンタジー
公開:20/05/05 09:49
更新:20/07/01 12:50
5月9日「母の日」 ショートショートカレンダー

渋谷獏( 東京にいるけっどカンサイジ〜ン♪ )

(獏・ω・) 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。
土器っ土器っ〜♪ 獏ぅ獏ぅ〜♪
https://twitter.com/ShaTapirus
https://www.instagram.com/tapirus_sha/
http://tapirus-sha.com/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容