わたしは本が嫌い

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私は本が嫌いだ。
といっても物語や文章が嫌いな訳じゃない。
「紙の本」が嫌いなのだ。

どれだけその世界に没頭しても、左手で押さえるページはどんどんと減っていき、その手触りは物語の終わりを明確に伝えてくる。
そんなこと私は望んでいないのに。
気づくと、あんなに熱中した本から気持ちが冷めていく。

例えばだけど、「半年後に解散する」
と聞いて、そのアイドルにはまれる?
そういうのと同じことなんだと友達に話しても、何故か理解されない。

そんな事を考えて、角を曲がった所だった。
電信柱の陰から、巨大なトラックが曲がってきた。
運転手は私に気づき、ブレーキを強く踏んだ。
「キキーッ」っと、物凄い音が通りに響く。
でも、もう車は止まらない。

だから、嫌なんだ。
終りが目に見えるのは。



ぱたん。

最後に、本を閉じる音が聞こえた気がした。
その他
公開:20/05/05 08:13
更新:20/05/07 10:31

柊 理子

物語が好きで、自分でも書いてみたいと思い始めました。
コンマ一ミリでも、人の心を動かせる物語を描けるようになりたいです。
精進しつつ、楽しみつつをモットーに書いてていければと思っております。
よろしくおねがいしますm(_ _)m

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