オオカミ家族

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「オオカミが出たぞ!」
そうからかわれた少年は、泣きながら家に帰った。

「なんでママは人間なのにパパは狼なの?」
でなきゃ僕は皆と同じだったのに…。そんな問いかけに母は笑った。
「パパって格好いいと思わない?」
「全然格好良くないよ。昼間なんていつも寝てるじゃん」
「それは夜行性だからよ。一匹狼だった頃はシャキッとしてたんだけどねえ」
昔を懐かしむように母は目を細める。
「でもね。お父さんも変身したの」
「変身?パパは人にはなれないよ」
「確かに彼は狼のままよ。だけど家族のために人間の社会で頑張ってる」
慣れないスーツを着た父親は、毛皮のせいで汗臭いし革靴もブカブカで正直ダサイ。
「でも…」
「でも?」
「やっぱり格好いいかも」

少年は玄関を飛び出した。
「外は真っ暗よ」
母の言葉に犬歯を見せてニカッと微笑む。
「夜行性だし大丈夫」
だってパパの子供だから。そう月に吠えたい気分だった。
その他
公開:20/05/05 06:19
更新:20/05/06 14:11

はつみ

現実世界の2次創作
誰かに教えたくなるような物語を書きたいです

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