異世界こどもの日

雲ひとつない青空にたなびく色とりどりのdragonsockを見上げながら私はしみじみと思う。

｢もうあれから50年か……｣

突然、世界中に“アレ”が蔓延して子供たちを中心に多くの命が失われた。私は運よく生き残ることができたが、子を失い悲嘆にくれる親や祖父母達の世代には地獄のような日々だったであろう。

成長した小さい孫の顔を見るために、私は城に入る。入り口脇にはガラスケースに入れた甲冑人形が飾られている。

YoshtookとかQuegetsといった老舗の人形メーカーで、熟練職人が魔力を込めて、魔よけのために作ったフルプレートメイルのMAYDOOLだ。庶民向けの銀メッキの安いものからミスリル製の高級品までピンからキリまであるが、私がかわいい孫に贈ったのは当然後者である。

｢ジイジ、あぃがと｣

息子に教えこまれたのか、柏クッキーを手に孫が片言で話す。この笑顔があってこその今日だ。