頭に草が生えた

頭に草が生えた。つむじ付近からピンと1本立っている。
大学の友達に見せたら、「ネット用語の？」とからかわれたので持ってきた帽子を深く被った。

昼休み、学食の安い蕎麦を啜る俺をじっと見ている人物がいた。
「げっ…モジャじゃん…」
植物学の守谷教授。陰気でモジャモジャで、なんだか苦手な教授だ。
「君…なんで帽子を被っているんだい？」
「…あー。草が生えてきたんすよ。つむじ付近に」
そう言った途端、モジャの顔が蒼白になった。
「いかん！早く病院に行かなければ！」
「いいっすよ！次の授業もう休めないんです！」
モジャの手を振り払い、俺は次の授業の教室に向かった。

また6限が始まる。面倒だが早くしたくをしなケレば…
…あ、レ何デカラだがうごかかな？派やく樹業に無か？な
「───」

「髪に寄生して脳細胞を吸い尽くす植物ですか。いやー、怖いですね」
スマホからニュースキャスターの声が静かに響いた。