喜怒愛楽天家族

「お前のせいで死んだ爺さんに怒られてしまったじゃないか！」
会うなり開口一番、怒鳴られた。しかし、その声は何故か嬉しそうだった。
「爺さんがさ、俺の夢枕に立ったんだよ。俺だけじゃない。親戚一同の夢枕にだ。それでなんて言ったと思う？『墓参りにも碌に来ない貴様らなんぞに儂の遺産はくれてやらん！』だよ。爺さんの遺産なんて高が知れているのにさ。それに聞いたよ。君、シングルマザーで息子さんは重い病気なんだろ？俺達に構わず、爺さんの遺産を使ってくれ。それでも足りないのなら俺達を頼ってくれ」
それはとてもありがたい申し出だった。でも、私は貴方達に会った事がありません。そんな見ず知らずの他人同然の母子にどうしてそこまで親切にしてくれるんですか？
「そりゃ、俺達は家族だからだよ。俺達の代わりに墓参りしてくれて、爺さんに認められる。君も家族の一員だ。家族は助け合うものだからね」
その人は楽天的に答えてくれた。