はるばる先に

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初めての一人暮らし。優良物件を月1万円で借りる事が出来た。
勿論、世の中そんな上手い話はない。私の借りた部屋は事故物件という奴で以前ここに住んでいたおじさんの霊が出る。
私は幼い頃に父を亡くし、おじさんと一緒に住む事に一種の憧れめいたものを持っていた。だから、おじさんの霊がはっきり見えたとしても問題なかった。
「おかえり!仕事お疲れ様」「休みの日も規則的な生活。君はいい奥さんになれるよ」
私をべた褒めしてくれるし、プライバシーも守ってくれる。紳士的なおじさんなので心配もなかった。
ある日、おじさんは私に男性を紹介した。「息子を幸せにしてくれ」って、普通逆じゃない?
でも、おじさんと同じ、紳士的な彼に惹かれ、私達はすぐに結婚へと踏み切った。
それを知るやおじさんは「これでもう思い残す事はない」と成仏した。

はるばる先にいるはずのお義父さんは、ちょくちょく私達の様子を見に現れるようになった。
ホラー
公開:20/05/04 09:38

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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