トイレの世界

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おれは酒を飲み過ぎて気持ち悪くなりトイレに顔を突っ込んでいた。
「吐いてしまったほうがいい。全部吐き出してしまえ」
便器が高い声でおれを促す。
誰かがトイレのドアを乱暴に叩いている。
その音が響いてとても頭が痛い。
次第にドアを叩く音は聞こえなくなった。
おれは便器に飲み込まれたのだ。
便器は海に繋がっていた。
海の色はピンクとかオレンジとか緑とか様々な色が混じりあった奇妙な色で少しだけ潮の香りがする。
そして、おれの身体はその海に一瞬で溶けた。
痛みは全くといっていいほど感じなかった。
海の一部となったおれはゆっくりと海の中心に移動しているような気がした。
移動が収まったと思ったら海から無理矢理身体を引き剥がされた。
頭が痛い。
身体に棒で叩かれたような痛みがする。
おれはおれの身体に戻って空を飛んでいる。
これからどうなってしまうんだろうか。
SF
公開:20/05/04 08:06

ばるさみこ

初心者ですがコメントやアドバイス等よろしくお願いします。
 

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