イエ≠家族

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「大きくなれば、家族が出来ます」
イエはいつもぼくに言う。
「家族ってなに?」
「幸せです」
「幸せってなに?」
「家族がいる事です」
イエの言うことは、よく分からない。分からないけど、イエが言うんだから、家族は幸せなんだ。イエはぼくがほしいものを出してくれるし、いっしょにいてくれる。ぼくだけの『プログラム』だ。
「イエは家族じゃないの?」
「プログラムです」
ゆりかごがゆらゆらする。首をふるみたいに。
イエがぼくの家族ならいいのに。大きくなっても、べつの家族なんかいらないのに。
「大きくなって、家族が出来ても、イエもいっしょ?」
ゆりかごがゆらゆらする。ぎゅってしてもゆらゆらする。
ぼくもイエならよかったのに。ぼくは『ヒト』で、『ゼツメツキグシュ』だから、大きくなって『ハンショク』しないとだめなんだって。
「家族は、ほんとうに幸せ?」
「幸せです」
なんで、ぼくの幸せがイエじゃだめなの?
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公開:20/05/04 16:29
更新:20/05/04 16:31
〇〇家族

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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