わたあめハンター

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ものごころついた時から、人の周りにモヤモヤが見える。

赤ん坊や幼児を除いたほとんどの人がモヤモヤをまとっている。

モヤモヤが濃い人を見つけたら、そっと近づき、気付かれないように人差し指を立てる。そのままくるくると指を回せば、あっという間にわたあめの完成だ。
僕がわたあめをぱくっと食べてしまうと、モヤモヤ持ち主の視界が、ぱあっとひらける。

僕は、誰かのモヤモヤをからめとり、のみ込んで、ちょっとだけその人を明るくしているのだ。

誰に褒められるわけでもないけれど、やりがいを感じている。

飽きもせず、日々わたあめを作っては、食べ続ける。

優しいあなたに、安心してほしい。
このわたあめをどんなにたくさん食べても太ることはない。
何より、なかなかいけるのだ。

かつてのわたあめハンターの名言をあなたも知っているはずだ。


「人の不幸は蜜の味」


これは決して比喩ではない。
ファンタジー
公開:20/05/04 16:02
更新:20/05/04 16:08

arupara( 東京 西部 )

田丸さんがご出演された『情熱大陸』であらためて空想の力を思い知らされ、読むだけじゃなく書いてみたくなりました。

書いた文章のイメージをイラスト化するのが最近の楽しみです。

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