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閉ざされた街に慣れた僕たちからは、感情が抜け落ちていた。こんな僕たちを嘲笑うかのように、陽は昇る。窓を開けて空を見上げる僕たちは、雲ひとつない青空に浮かぶ死んだ目をした魚たち。
そんなある日、いつものように窓を開けると甘い香りが鼻先をかすめた。思わず外に飛び出す。外には同じく家から飛び出したであろう人びと。
僕たちは甘い香りに誘われ、街の広場に集う。その中心で青年がひとり、羽根のようなギターを鳴らしていた。その音色から甘い香りが漂っている。僕たちはその甘い音色に合わせ、体を揺らし始めた。
僕たちの顔に喜びが戻る。と同時に、溜まった鬱憤を吐き出すかのような怒号が響き始めた。
その喧騒に割って入る歌声。ギターの青年の歌。その優しいメロディに乗せたことばの魔法が琴線に触れる。しょっぱい歌。僕たちの目から自然と涙が溢れ出ていた。
街はいつまでも死んではいない。あの青年はきっと今日もどこかで……。
そんなある日、いつものように窓を開けると甘い香りが鼻先をかすめた。思わず外に飛び出す。外には同じく家から飛び出したであろう人びと。
僕たちは甘い香りに誘われ、街の広場に集う。その中心で青年がひとり、羽根のようなギターを鳴らしていた。その音色から甘い香りが漂っている。僕たちはその甘い音色に合わせ、体を揺らし始めた。
僕たちの顔に喜びが戻る。と同時に、溜まった鬱憤を吐き出すかのような怒号が響き始めた。
その喧騒に割って入る歌声。ギターの青年の歌。その優しいメロディに乗せたことばの魔法が琴線に触れる。しょっぱい歌。僕たちの目から自然と涙が溢れ出ていた。
街はいつまでも死んではいない。あの青年はきっと今日もどこかで……。
その他
公開:20/05/04 11:54
更新:20/05/04 11:58
更新:20/05/04 11:58
まったり。
2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)
壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)
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