スパイシー家族

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ドンドン!
「唐見さん!家賃払って下さい!」
恐る恐る私は扉を開ける。
『すみません!今日は更新料だけ!』
バタン!
「もう香辛料はたくさんよ!」

『くしゅん!』
粉っぽい我が家。夫がスパイス調合師で、様々な香辛料で溢れている。
同居する義母はサフランを使った黄染職人。息子はアニメ『カルだもん』中毒。正直、辛くて辛い生活で、私もひどい肩コリアンだぁ。
「完成したぞ!」
突然、小瓶を持った夫が部屋から出てきた。
「これはどんな品モンも故障前に戻せるタイム胡椒さ。これで発明家だったご先祖様の大発明を直せるぞ」
スパイス以外に皮肉まで利かせるようになった?
部屋の隅の壊れた扉に、胡椒をふりかける夫。
扉が開き、私は目を疑った。異国の風景が広がっている。
「カルだもんみたい!」
息子が叫んだ。
「扉型タイムマシンさ。さぁ、刺激的な家族旅行に出発だ。行き先はシルクロード。家中の香辛料を忘れるな!」
ファンタジー
公開:20/05/04 11:42

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
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ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

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